2008年 忠臣蔵 音無しの剣

3.0
田村正和   120分  TVドラマ

12月14日の忠臣蔵の日に放送された作品で、結城慶之助(田村正和)と志保(和久井映見)の切ない恋物語がメインとして描かれる。慶之助が堀部安兵衛の旧友という設定になっており、赤穂事件の渦中へと緩やかに巻き込まれていく展開。

ただ、全体的に忠臣蔵本来の要素はかなり控えめ。タイトルに「忠臣蔵」と入れなくても作品として成立するレベルで恋模様と人間ドラマに重きが置かれている。有名な「松の廊下畳替えの助太刀」を行うのも慶之助側の人間たちであるため、安兵衛自身の見せ場や活躍が自ずと減ってしまうのは少し独特なアプローチ。

慶之助と志保の間に成田屋清兵衛(中村雅俊)が複雑に絡み合い、登場人物たちの報われない人生が静かに、そして淡々と描かれていく。ちなみに成田屋はいわゆる普通の忠臣蔵における「天野屋利兵衛」のポジションを担っている。

大立ち回りや派手な討ち入りを期待すると肩をすかされるかもしれないが、作品全体を包む静謐な空気感としっとりとした情緒があり、「静かな雰囲気の良い大人向けの時代劇」として味わい深い一作。