2025年 双仮名手本三升 裏表忠臣蔵

4.0
市川團十郎  230分  歌舞伎

大幅なカットや大胆なアレンジが施されていて、昼夜を通して見どころがぎゅっと凝縮されている作品。
古くから忠臣蔵は数々のパロディやアレンジ作が生まれてきた歴史があるけれど、今回もまさに鶴屋南北的な自由で遊び心のある演出が盛りだくさん!
クラシカルな歌舞伎ファンはもちろん、講談や時代劇ファンにも刺さる仕掛けが満載で、終始ワクワクさせられた 🙌

昼の部は古典の『仮名手本忠臣蔵』の魅力をベースにサクサク展開し、夜の部は講談や時代劇、さらには立花左近や垣見五郎兵衛ネタなどのパロディのエッセンスをふんだんに取り入れた構成。
定九郎の最期の演出などには映画『忠臣蔵外伝 四谷怪談』を思わせるような表現もあって、昔から幾度となくアレンジされてきた演目だからこそ、こうした自由度の高さは大歓迎!素直に面白い 💭

テンポよく進めるために場面や人物の大胆な省略がなされていたけれど、背景説明は原さんや与五郎くんのセリフでしっかり補完。ただ早替わりの都合上、裏で由良之助と平右衛門や与茂七がやり取りを済ませてしまう展開には「その裏のやり取りも見せて…!」ともどかしくなる。。。

冒頭、原作通り人形に命が宿るように目を覚ます直義公の佇まいが美しく、足元までピッタリ揃った端正な姿に開幕早々見惚れてしまった……
五段目〜六段目にかけては、勘平の走馬灯や、彼だけが亡霊であるかのように見せる青い照明の演出が非常に切なく幻想的。シルエットの美しさには鳥肌もの!ラストの討ち入りも、いつもながら目が幾つあっても足りない圧巻の迫力で、エグい量の雪が降り積もる演出もダイナミックで超カッコよかった。

キャスト陣の魅力も爆発していて、虎之介さんの力弥が大正解!声のトーンから佇まいまで、幼さと身分の高さを兼ね備えた品格があってとにかく可愛い 🫶🏻✨
矢頭右衛門七(与茂七)は前髪を残したビジュアルや短めに描いた眉の工夫が絶妙で、史実や講談の「不憫な少年」感が完璧。普段の重厚な忠臣蔵では見られないような最後の一瞬の笑顔が破壊的で、それはもう可愛くて可愛くて茹蛸になりそうだった…… 🥹💗
そしてお軽と平右衛門の成す術のないやり取り。感情がころころ変わる妹と、終始辛そうな表情を浮かべる兄の対比が胸に迫って辛くて死ぬレベル 😭

古典の良さを残しつつ、時代劇や講談の要素をミックスした意欲的な演出でした。