1962年 忠臣蔵 花の巻・雪の巻

5.0
松本幸四郎  207分  映画

※1954年の同名作品とは内容は異なる。討ち入りシーンに「ゴジラ」の登場シーンの音楽が使われている🦖。ドキドキワクワク。

塩田開発を巡って浅野家と吉良家で確執が生じる。塩田関連で吉良さまのイジメがスタートするのは、映像作品では当作品が初。畳替えシーンでは粗忽者エピソードのある唯七がうっかりしていて可愛い😊また、定番に大きなアレンジを加えたり、映像作品ではあまり見られない「仮名手本忠臣蔵」ネタが点在する。例えば、お軽と三平(勘平)が出てくるし、お軽は寺坂の妹という設定は仮名手本ネタ。でも三平の死はオリジナルで、早駕籠に載っているときに人を跳ねて死なせてしまう。その子が三平のもとへ仇討ちにやってくる。覚悟の三平、大石に本当の気持ち(討ち入りをするという事実)を聞いて安心して果てていく。三平の死への導き方は様々だけれど、この作品はしっかり泣かせにきている。廓で彼の死の知らせを聞いた内蔵助の行動もまた切ない…。更に、立花左近ないし垣見五郎兵衛のストーリーも変わっている。本陣の主人半兵衛(役者は森繁久彌。本来ならば立花・垣見を演じるハズ)と内蔵助とが見つめ合い、半兵衛が心中を察する展開。

寺坂さんは病でやむを得ず参加ができなくなった設定で、46人で討ち入るパターン。泉水の戦いで浪士が池に落ちる場面ではしっかり池に氷が張っていてとても細かい。氷が割れてゆっくり水に落ちる所がしっかり映っていて新鮮。ここでも仮名手本ネタ(兼史実)として、茶坊主との戦いが一瞬描かれている。吉良殿が見つかるまでに時間がかかり、浪士達の焦りがしっかり描かれている。内蔵助も「探せ」と言うばかりではなく、一度全員集めてどうしようか「話し合おう」 とする。集めるために合図の笛を鳴らそうとしたら、一足早く吉良殿発見の笛が鳴る─という流れ。

とっても珍しいシーンが満載だけどしっかり忠臣蔵という「ワクワク忠臣蔵」。