2024年 身代わり忠臣蔵

3.0
ムロツヨシ  120分  映画


原作は小説で、原作者が脚本も担当しているムロツヨシ忠臣蔵。良くも悪くもムロツヨシ。
小説は発売直後に読んでいたけど、下品な描写が多くいいイメージは無かったのであまり期待はしていなかった。でも意外と面白かったし、むしろ原作より好きだった。
綱吉と柳沢の幕府側を登場させることで、小説ではふんわりとして曖昧だった所も筋が通ったし、三つ巴の関係によって一気に「忠臣蔵っぽさ」が出てくる。
お下品な描写は程々になってるし浅野は貴公子そのもので、本来の「内匠頭像」を全く崩すことなく描いたことで、より「忠臣蔵」に近づける工夫があったかな。内匠頭役の右近さん、一瞬悔し涙を見せてプツンと切れる瞬間が素晴らしく、息を呑む演技を見せてくれた。瑛太は内蔵助顔ではないけれど、「決断を迫られる大石内蔵助」像を見事に演じてたし段々と彼の内蔵助に染められていった。年齢が大分操作されてるけどやっぱり柄本明演じる柳沢吉保の存在感が大きかった。赤穂事件における最大の厄介人物としていい味を出してた。
江戸市中で吉良の首で「赤穂VS吉良」でラグビーをやるという、奇想天外な展開には笑わせてもらった。最後に持ってきた盛り上げ部分だと思う。映像化のために書き下ろした部分なのでここは全く予想外で、これまでの、更にはこれからの矛盾など吹っ飛ぶような莫迦らしさが却って清々しい。