1979年の「女たちの忠臣蔵」(←視聴率オバケ作品)、前年の「忠臣蔵・女たち・愛」に続いて石井ふく子プロデュースの忠臣蔵の、ラスト。この人の作品は女性が絡むのが前提で、普段取り扱われない四十七士がメインになってくれるため大好き。今回の珍しいメイン四十七士は潮田さん・近松さん。それに主税くんに原さん。今回も大石りくさんが江戸に下向してきて様々な女性たちと討ち入りをサポートする話。冒頭で一気にメイン女性が出てくるのだけれど、ここがとても華やかで音楽もキレイで、セットもいつもどおりお金が掛かっており、元禄っぽさが出ていた。何だかミュージカル的な演出だった。最高。
忠臣蔵を見てると大体の作品では、生類憐みの令のご時世なため犬が出てくるけど、今回は犬医者まで出てきて、これが重要な役で注目するところが面白かった。潮田さん・近松さんは年齢的に女性とセットにして動かしやすいと思うし、どちらのコンビの動きも同時に楽しめて大満足。で、主税くん(最年少・10代)と原さん(50代)の場合はちょっと変わった女性を組ませていて非常に珍しかった。主税くんは母親くらい年の離れた女性を慕い、原さんはやんちゃな若い女性とセットにしていて微笑ましかった。基本的にこの作品の女たちは強いから、討ち入り前に別れを拒むようなことはしないから好感度がものすごく高いし、見ていて泣けるのだけど清々しい気持ちも同時に湧いてきて「討ち入り前の女性の別れ」が特に悲しい場面ではないし、気持ちいい。
梶川与惣兵衛(丹波哲郎)の家族や吉千代(内蔵助の息子・主税の弟)にもスポットを当てていて、珍しい人たちがガッツリ出てきたのも嬉しい。美空ひばりさん演じる照月尼が本当に仏様のようで、彼女の計らいが物凄くステキ。りくが照月尼の元にいる吉千代の後ろ姿を見つけた時は思わず泣きそうになった。
潮田さん・近松さんは討ち入り決定後、実際二人で旅をしてお仕事をしているし年齢も近いし、潮田さんはやっさんのこと信頼してそうで彼の方がすこし熱い男な感じはするけど、「潮田&近松」は「潮田&堀部」程ではないけど中々いいコンビじゃないかしら~と思っていたのだけど、この作品は二人がセットにされていてヨカッタ!うん、結構いい。