2011年 大江戸鍋祭~あんまりはしゃぎ過ぎると討たれちゃうよ~

4.0
舞台俳優さん  186分  演劇

2.5次元俳優がメイン?のイケメン忠臣蔵お芝居。

柳沢吉保が浅野家と吉良家を操るタイプはまあまあよくある展開だけど、柳沢は近松門左衛門にシナリオを書かせている。個人的に近松門左衛門を出すなら彼をとことん上手く動かさなければ忠臣蔵は楽しくならないと思っているのだけど、これは幕府とタッグを組ませ実に上手くキャラを作ってくれたと思う。そして演劇ではよくあるパターンの、殿は実は生きており、四十七士も名だけ残し実は切腹していないというオチ。制作側も俳優さん目当ての若いファンが多いと分かっていたはずだろうけど、忠臣蔵というシナリオを忠実に上手くアレンジされていてかなり細かかった。浅野内匠頭が吉良上野介と元禄十四年に初めて会うような台詞を言っていて気になったけど、お芝居後のトークコーナーで実は饗応役は二度目で吉良には昔指南を受けていることも解説しており、お芝居でのアレンジはアレンジとして、解説も取り入れており初心者に優しい作りになっていた。劇中も何度もキラッキラ衣装の岡野金さんと右衛門七くんが突然忠臣蔵の解説を始めるなどしており大変素晴らしかった?それにしても、お衣装も細かかったけど二人だけ(特に岡野)本当にキラッキラ衣装で眩しかった(笑)

2011年冬の公演ということもあり、この年にJIN二期が反響を呼んでいたため、仁先生と咲さんと坂本龍馬を出すトンデモ設定も盛り込まれている。ChuSinGura46+1~武士の鼓動~で(2014年冬)赤穂浪士VS新選組が見られるけど、2011年冬には既に坂本龍馬とのコラボが拝めていたのだな。ただJINネタも度が過ぎており、もしもJINを観ていなかった人がこの作品を観たら面白さが減ってしまうだろうなあ、と。他にも恐らくテニスの王子様のネタ?や、前作や別の番組のネタもふんだんに盛り込んでいたのだけど、そこら辺を理解していなかったため、笑う場所も笑えなかったところはあったかな。でも、JINは多くの世代が楽しんでいた平成で久しぶりにヒットした時代劇だし、その他の内輪ネタも観に来る人向けに入れたものだし殆どの人は笑えたと思う。

寺坂・高田・毛利・萱野と中々涙なしでは観られないシーンを担当する生き残り組・脱盟組がキャスティングされていたので、おふざけメインでも泣かせてくるやつダナ~と思い覚悟していたけど、このメンバーが揃っていても全く泣かなくてびっくりした(笑)。 時間上の問題があったのか、萱野は突然死だったし、高田は抜けると安兵衛に告白する忠臣蔵の緊迫した名シーンで謎の歌を歌いだし、東海道四谷怪談のお岩さんと組んじゃうし、一番まともだった毛利も最終的に仁先生に病気を治された(笑)。寺坂は泣く泣く残務処理をやらされるわけでなくスパイをしていた。赤穂藩の任務が終わったから今度は水戸藩にスパイに向かっていく精神的に強そうなキャラだった。 2.5次元俳優が演じる忠臣蔵の他の先品、ジーザス・クライスト・サムライスターの方が遥かにふざけていたけど、ふざけすぎて、こっちの方がラストで泣ける作品でもあった(笑)。 因みにお岩さんを出してきたときに「凝ってるな~!でも知らない人のが多いだろ」とツッコミ入れそうになったけどやっぱりキラッキラの岡野と右衛門七が丁寧に解説していて拍手。お岩さんの人、上杉綱憲と二役だったけど、お岩さんが実によく似合っていて女性っぽくてとても良かった。喋ると男。浅野大学さんも出てきており、お歌も披露していたのだけど、「目立たない方の浅野」だの「忠臣蔵では名前はほぼ必ず出てくるのに名前だけ」と自虐していてとっても面白かった。

唯七くんを身長が低めの可愛い俳優さんが演じられていて、ピッタリだった。安兵衛は平伏しながら喋ると地べたに全身くっつけちゃうしめちゃくちゃ可愛かった。やっぱり「忠臣蔵」における推しは安兵衛であった(「赤穂事件」では近松さん。)。時代劇でやったら謎すぎてブーイング出そうなことを簡単にやれちゃうのがこういった場での芝居なので、もっとお芝居で面白おかしい忠臣蔵を楽しみたい。