討ち入り前の会合場面を面白おかしく描いたお芝居。 出てくる四十七士は、大石(内)サン・堀部(安)サン・吉田(忠)サン・不破サン・岡野サン・寺坂サンと、ほぼほぼ舞台ではおなじみの顔ぶれ。寺坂さんは出演するだけで話の内容が重くなりやすい為、時間が限られてくる舞台系ではあまり出ない印象だけど、今回は主人の吉田サマとラブラブ主従セットで出てきて癒し系だった。
それに加えて非常に珍しいキャラとして甚三郎サンが出てきて、超個人的だけどこの舞台の一番の評価ポイント。彼は小説で稀に出てくる程度で、おそらく映画などには出てきたことはないと思うから、この作品が初めての「動く甚三郎」(多分)。只管感動。 この他に堀部ホリさんや梶川さん、お艶ちゃんなど忠臣蔵のサブキャラなどが出てくる。 物語としてはずっと蕎麦屋の屋根裏で会話(ギャグ)するだけ。1.5時間のお話だったためか、場面展開がなくてギャグセンスが合わないとちょっと飽きるな~という印象。この作品に限ったことではないけど、同じ場面を暫く見せられていると飽きてしまう性格なのか、やはり時間は少なくても展開を求めてしまうナーと改めて思った(「吉良ですが、なにか?(2014年)」も「会話」メインのため少し飽きてしまった経験がある)。
唯一笑ったところは甚三郎サンが討ち入り衣装を持ってきたときに新撰組の衣装が混じっていたこと。過去に幕末が舞台のお芝居をやった劇団サンのようで、小道具を有効活用しているようでよかった。 甚三郎サンが一度舞台裏に隠れたあと、しばらく出てこなかったため、甚三郎役の方が主人の近松サンとして再登場してくれないかナと思ったのだけどそう上手くはいかなかった。でも初っ端から甚三郎サンが近松サンのお名前を出してくれたし、ちょくちょく「ご主人の顔に泥を塗るようなマネは出来ません」などと主人思いの発言を沢山していたため大満足。アリガトウ。 寺坂さんは吉田さんのことを「旦那様」、甚三郎さんは近松さんのことを「ご主人」と呼んでいたのも可愛かった。そうだな、「ご主人」呼びもアリかぁ、かわゆい。
近松サンは忠臣蔵作品ではあまり出てこないけど、この作品を見て名前のみの出演は結構ある方なのかと感じ始めた(「お誂え四十七士」など)。(余談 :ただそう考えると、短時間の小さな舞台ではないけど、「冬の絵空(2009年)」は貴重な配役だったよなぁ…。「冬の絵空」は忠臣蔵にハマりたての頃に見たから、近松さんが珍しいという印象は無かったのだけど、今思うと大変素敵な配役。ハマって初めて見たお芝居なので今でも印象深いし当時の記憶が蘇ってきて懐かしくて泣ける作品。)
その他、名前だけの出演は、今回は堀部弥兵衛さん。お名前だけだけどよくある「頑固ジジイ」設定ではなく「長老格の威厳」を感じるような人だった。 討ち入り前の潜伏期間のお話のため、冒頭に四十七士が変名を用いていたことを観客に予め伝えておくようなシーンがあったけど、最初に全員変名で呼び合ってしまったため、コレは忠臣蔵ファンではない一般の観客に混乱を招きそうだな?と感じた。 芸が細かいのは好きな方だけど、今回のは敢えてスルーでも良かったカナーという印象。 お芝居だし最初から実名で呼びあっていても問題ないと思う!屋根裏に何故か梶川与惣兵衛サンが登場する謎設定にするくらいの大胆さがあるのだしもっと勢いよくいって良かったと思う(笑)!こういう小芝居は舞台役者さんの知り合いなどが来ることが多いため「忠臣蔵ファン」が観に来ることはあまり無いのよね。 そう考えるとお芝居は一般の方に忠臣蔵の概要を説明しながら舞台らしい設定を加えて物語を作っていくのは難儀なことだ…。 でも今回真夏に忠臣蔵を見ることができて良かった。