1941年 元禄忠臣蔵 前篇・後篇

4.0
河原崎長十郎  223分  映画

松竹と前進座が真山青果の元禄忠臣蔵を基に作った作品。ちょっと上級者向け?マニアックな部分が多い作品。一番盛り上がる「討ち入り」は歌舞伎の流れ通り、無い。口頭で討ち入りの様子を語って終わらせる見せ方をしている。ただ、討ち入り後の引き揚げの様子は描かれている。史実では引き揚げ中に吉田さんと冨森さんが仙石伯耆守さん宅へ自首しに行くけど、この作品では泉岳寺についてから。内蔵助さんに「仙石邸へ行ってちょうだい」と命令されるも、「殿のお側を離れとうございません」と一度イヤイヤする冨森さんが可愛い。

その後50分近くもある。いわゆる「大石最後の一日」の場面で、十七名のお預かり先・細川邸でのシーン。史実で高齢組・若手組とお部屋が分けられ、切腹前夜に若手組数人がどんちゃん騒ぎをしたエピソードがある。中々映像化されないこの話を盛り込んでくれている。瀬左や源蔵さんが「芸をお見せしよう」とウズウズしているのがたまらない。「(高齢組に)叱られるよ😒!」「別に叱られても構わん😁」的な会話も微笑ましい。その後の芸をしている音が高齢組の部屋に響き渡っている場面が何だかシュール。途中高齢組の原さんも乱入して更に可愛さアップ。後半は礒貝さんのターン(琴の爪)で、切腹シーンへ移り、終わる。

個人的に一番うれしいのは、「忠臣蔵」では中々出てこない近松さんがちょこっと出てくること!大高さんと共に内蔵助さんの元に江戸から京に使いにやって来て、なんと忠臣蔵の定番の妻りくさんや子たちの別れのシーンの時まで一緒にいて、共に見送っている。う、嬉しい…!やってくれました元禄忠臣蔵。

かつらにこだわったのか、「時代劇の月代」さがあまり感じられず、かなりリアルに近いような気がする。髷が短く、年齢によって太さも大胆に変え、月代の広さまで違いがある。すごい。