石橋直也 140分 演劇
原作は鶴屋南北の「盟三五大切」。大方、原作どおりに進んでいくけど、とっても上手にアレンジされていて楽しかった。原作では絡みのない伊右衛門を数右衛門と関わらせたことで、伊右衛門が数右衛門をどんどん地獄に誘導している。でも「四谷怪談」のクズ夫の姿は描かれない。だから「盟三五大切」の、「果たしてこの物語に根っからの悪は居るのか?」と唸ってしまう虚しさが残る。四十七士も結構出してくる。仲間割れが起こるから最終的に討ち入りに行かないのか─?と思ったけれど、ここはちゃんと四十七士。
血糊もガンガン使うし、薄暗さやホラーな雰囲気をセットや音楽で工夫している。伊右衛門がお岩さんと同じ死に方をしていて、とっても皮肉!数右衛門が騙された直後に暗殺に出向いた家で、命からがら逃げだす三五郎と小万の表現が難しそうだったけれど、すごく分かりやすい。小万の赤子が殺された時の、小万の泣き叫ぶ渾身の演技が見もの。