1938年 忠臣蔵赤垣源蔵 討入り前夜

3.0
阪東妻三郎  75分  映画

源蔵さんの代表的エピソード「徳利の別れ」をメインの題材にした映画。源蔵さんが主人公の外伝のため、塩山家メンバーも増やしている。女中は普段からよく出てくるけど、老僕や甥っ子(男児)も出てくる。この甥っ子の源蔵への態度が、子供だから正直すぎる。グサッと心を抉られてリアル。「来年の新盆に帰る」と悲しい嘘をつく源蔵さんは、近年の忠臣蔵での台詞かと思っていたけど、当時からある言い回しなんですね。素晴らしい別れの言葉で大好き。

源蔵さんは兄との兄弟愛枠なので色恋を担当することは少ないけれど、今回はこちらもちょっと担当。といってもぞっこんなのは彼女の方。討ち入り後の引揚げ中に、彼女は源蔵に気付くも、源蔵は気付かない。しかも彼女が後を追いかけるシーンで終わる。手に持っていたものも落とし、履物も脱げても只管追いかける。これが悲しい─