滝藤賢一 120分 ドラマ
令和の時代から江戸の世へ家電を送り込み、江戸の人間を感動させる物語。正月に作られた、その忠臣蔵版。主人公の兼梨(滝藤賢一)と大石内蔵助(尾上菊之助)は旧友という設定で、大石が最後に切腹することを知ってしまった兼梨が、忠臣蔵の発端である刃傷事件を、家電を用いて止めさせるお話。
ほとんど江戸城での出来事を描いているから、大石ではなく浅野本人と事件を阻止するお話でもよかったのに(笑)。それか「携帯忠臣蔵」のように、刃傷後からのスタートにすれば、大石が違和感なく登場できたかもしれない。とは言え、立ちはだかる困難の対象である、幕府側の主要人物が「桂昌院」だったことを考えると、面白い構図だと思った。
字幕ありで観ると、大石父子と安兵衛以外の、浅野家家臣の名前も分かる。結構拘ったのか、「江戸」側の家臣ばかりピックアップしてあった(高田･倉橋･前原･勝田)。現代の家電が江戸時代に登場する時点で「本格的な真面目時代劇」と思ってはいけないから、頭の中を空っぽにして楽しむべき作品であることは理解できるけれど、ラストは雑だった。大胆な歴史改ざん。なんと、忠臣蔵が無かったことになっている。もちろん歌舞伎の題材になるはずもなく、大石を演じた菊之助さんは何を思ったか･･･(笑)。