こまつ座 135分 演劇
井上ひさしの「イヌの仇討」。討ち取られるまでの炭小屋での2時間を描いたお話。場面転換はひとつもない会話劇。でもお犬様のぬいぐるみは非常にぬるぬる動くし、しょんべん小僧のように勢いよく出す(笑)。登場人物は吉良上野介、清水一学、大須賀治部右衛門、牧野春斎、お三、おしの、おしん、お吟、砥石小僧新助(盗人)。四十七士は声だけ登場。吉田、茅野、間(十)、神崎、武林、横川、安兵衛、大高、赤埴。大石さんの台詞は牧野が代弁しているため直接聞くことは無い。これだけで構成が面白い。
井上ひさしの脚本を大切にしているので、全く原作どおり。寧ろ原作を知っているから観劇を見送りしてたくらい(笑)。再々演でようやく観ました。そして、再々でも一切アレンジを加えることなく、安心できる空間と言いましょうか。吉良さま役の大谷亮介さんは3度目なので終始演技が安定していて感情移入ができるし。
2014年に上演された三谷幸喜脚本の「吉良ですが、何か?」は、実は炭小屋に隠れている時間を描こうと思ったらしい。先に1988年のこの作品があることに気づいて、舞台を現代に大胆アレンジしたエピソードがある。