ジャニーズJrの宇宙Sixさんが紀伊國屋文左衛門・近松門左衛門・堀部安兵衛・大岡越前守を演じて、30-DELUXさんという劇団さんがその他の赤穂浪士や浅野内匠頭、由井正雪、吉良上野介、柳沢吉保などを演じた、忠臣蔵をモチーフにした作品。正直あまり期待しないで行ったのだけど、観てみるととても深くて非常に面白かった。忠臣蔵の歴史を塗り替えた話で、殆ど元禄時代あたりの人が出てくるけど、時代がズレている人も出してきて、普通の時代劇ではまず有り得ない人物同士の対決とかが見られてワクワクした。あとミュージカル寄りで歌が入るのでミュージカル好きには嬉しい。歌も全てオリジナルで感情移入しやすい。
入場直後に配役表が配られたけど、観劇後に思ったことは、メインは紀伊國屋と近松になるため四十七士は内蔵助さんや安兵衛さんを除いては誰役とかは必要ないかなあ、と。でも、十次郎くんと不破さん・忠左衛門さんはキャスティングされていた。四十七士はバリバリ元気に動くので吉田さんの場合は必然的に超動ける元気じじいにということになる(笑)。誰が誰かとか結局わからなかったけどどうせなら武林さんあたりでもよかったかもしれない。
ストーリー的にはまず浅野と吉良は幕府転覆を企む陰謀から綱吉を守るために例の事件を起こすことから始まっていて、そこから既に忠臣蔵の大逆転。目の付け所が面白い。この黒幕も中々考えられていて、今回悪役になってしまっている人物には申し訳ないけど、オリジナルキャラが少ないのが返ってリアルで楽しい。ギャグも挟んでくるので結構笑った。今回のオリキャラの「ヤス」が「ヤスっす!」と言った後に厳ついキャラの安兵衛が可愛い声で「安兵衛ッス!」と釣られて言ってしまい、我に返り恥ずかしがるシーンで思わず笑ってしまったのだけど、お客さんは大抵ジャニーズか劇団さんのファンの女性の方で、「堀部安兵衛」の名前がしっかりと周知されていないためかあまり笑いが起こらなくて一人で吹き出しててわたしも安兵衛並みに恥ずかしかった。でもほかのシーンは別のお客さんと同時に笑えたし感動も出来たし問題なし。
最近思うようになってきたのは、近松門左衛門が出てくる忠臣蔵の場合、彼を上手く使うことができればマジで面白い忠臣蔵になる。ちゃんと居る意味のある近松なら、とてもいい忠臣蔵になる、気がしている。
基本的に時代劇における近松門左衛門は少し変わったキャラでバリバリ大阪弁の大阪人設定が多いけど、今回のは敬語キャラで少し控えめ、自分に自信の無い頭脳派という設定で、とても珍しい近松だったけれど、こういうキャラにハマる傾向が有るため個人的に好きな近松だった。何だか忠臣蔵を背景としつつも「暗い過去」・「友情」・「仲間」とかがキーワードになってくる少年漫画的な物語だったため、だんだん強くなっていく近松がかっこよかったしそれを支える紀伊國屋も闇を抱えつつも仲間思い出とても強くて、もう、普通の面白い少年漫画だった。あと殺陣がすごい。何度も激しい殺陣シーンが見られて、人数の少ないお芝居なのに完成度が高くて大満足。高田馬場の決闘を意識した酒を浴びながらの安兵衛の殺陣もいい感じ。やっさんに惚れ直した。